高校バスケ東信大会

高校バスケの集大成であるインターハイ予選。
かつての教え子の野沢南高校バスケ部を観にいく。
1回戦で負けたらその時点で3年生は引退
勝てば順位決定戦含めて4試合できる上、来月の県大会に出場できる。
初戦を勝つか負けるか、この差は大きい。
昨秋の新人戦は1回戦で敗退し、先輩から継いだシード権を失った彼ら。
今大会の目標はインターハイ出場ではなく
先ずは初戦を突破して県大会出場権を獲得すると共に、
後輩たちにシード権を遺してやることなのだろう。
なので
彼らにとっての天王山でメインイベントで胸突き八丁は
初戦の上田高校にある。
たけるや中西は、
5-8位決定戦が行われる明日に応援に来るつもりでいるようだけれど
(準決勝進出の目は無いという判断ですか・・?)
上田に負けたら明日もクソも無く
彼らを応援する機会は
今日をおいて他にはない可能性は決して低くはないので
会社を休んで観にいく。
ゴールデンウィーク明けの有給休暇取得に葛藤はあったけれど
デスクワークは自宅で出来ても
会社でバスケ観ることは出来ないと自分に言い聞かせて・・・
たけるの時代も新人戦とインターハイ予選で対戦した上田高校。
南高はどうか知らんけど
上田高はOB会活動が積極的であり、厳然たる縦社会。
大会には大抵、年配の重鎮方がいらっしゃる。
南高をコーチしていた頃、重鎮より
『おまえは裏切り者か・・』とか言われちゃったりもして、
正直、一番対戦したくない相手でもある。。。
現場から退いて傍から応援する立場とすれば、
上田高にも頑張って欲しい気持ちもある。


会場の小諸高校は、
おいらの高校時代も最後のインターハイ予選を戦った、思い出深い場所。
3学年上のスティンガーズ武田先輩の代は北信越を制し
史上最強、当時の上田高ではピークの年と云われた。
そしてその3年後
下のピークと云われたおいらの代。
新人戦で敗退しシードから陥落する南高同様の状況から
準々決勝で新人戦東信1位/県3位のシード高に
奇跡としか言いようのない勝ち方をして
皆で抱き合って喜んだ。
引退後、仲間の家に集まって飲んでは
その試合のビデオを何度観たことか・・・
ミスした奴は一気飲み・・・のローカルルールに、何人がゲロ吐いたことか・・・
今では正月のOB会に集まっては猥談肴に飲み明かす
腹の出た中年おやじたちにも、そんな青春時代も確かにあったのだ。


決して広くない2階席には高校生と保護者がひしめき合い
そこから発せられる熱気と応援合戦は、
普段見慣れている
閑散としたギャラリーの中で粛々と行われる社会人バスケの大会とは
明らかに異質な空気を感じる。
やり直すことは決して叶わず
期間限定の部活動ならではの雰囲気なのだろう。


(アップ開始 気合は十分)


試合開始直後、小林のジャンプシュートが決まる。
お・・・今日は当たるかも・・と期待するも
ミスが多く、波に乗れない南高。
初戦ならではの硬さは、当然あるのだろう。
ディフェンスは悪くない。
上田高には、それほどの強さを感じない。
いけちゃうかも・・・
しかし、何しろミスが多い。
1ピリだけでターンオーバーは10以上・・・
得点の殆どは単発で、いい形でオフェンスが作れない。
同様にミスが多く、お付き合いしていた上田高ではあったが
徐々に試合に慣れてきて、連携プレーも出る。
絶対的な決め手を持ち合わせている訳ではないけど、
攻めに守りにしつこさがある上田高。
お互いに主導権が握れない、混沌とした試合展開において
このしつこさは、ジャブの如く効く。
ジリジリと点差が開き、10数点のビハインドで前半終了。
じれったい。。。
伝えたいことは山ほどある。
ハーフタイム、コートに下りて指示してやりたい衝動に駆られたけれど、
関口先生の指導の下、ここまで育ってきた南高。
おいらの出る幕ではない。

後半、反撃のきっかけが掴めない南高。
ディフェンスでも、所々で気を抜いてやられる場面が目立ちはじめる。
苦しい後半の時間帯に、ディフェンスで踏ん張ることは何より大事なのに・・
南高の最たるアドバンテージは、赤沼のゴール下。
昨年のチームでは下級生唯一のスタメンで
たけるを相手に鍛えられたキャプテンの彼は
上田高のセンターでは止められない。
ならば
赤沼を中心にもっと攻めりゃぁいいものの・・・
そこまでパスが繋がらない。
この試合を通して露呈した南高の課題は、そこだ。
4ピリにいいオフェンスの形が見られ、点が入りだすも
既に逆転できる点差には無く、負ける。


(しょぼくれる)

試合後、涙に暮れる3年生。
掛ける言葉が見当たらない。
練習に顔を出した時は
褒めもするけど課題を中心にコメントする。
来たる本番に生かしてもらうべく・・
けれども
負けて引退が確定した彼らに反省点を述べても仕方のないことで
良く頑張った、精一杯やれたのならそれでいいわいと
慰める他に無い。
問題はそこで
持てる力を全て出し尽くせたのかということ。
自分たちの代になっての公式戦出場は
新人戦とインターハイ予選でそれぞれ1試合のみ。
集大成と呼ぶにはあまりに少ない機会に
充足感があるかといえば、答えはおそらくNoだろう。。
最後の最後に2分間の出番を貰った控えセンターのみずき曰くは、
『もっと真面目に部活動しておけばよかった・・・』
もし、やり残した感があるのなら
願わくば、これからもバスケを続けて欲しい。
去年の3年生も
少なからず想いを遺してきたようで
大学や専門学校進学以降も、皆バスケを続けているそうだ。
赤沼、利央、小林、みずき
10ヶ月間の臨時コーチ時代、目先の結果を求めるのに一杯一杯で
下級生の育成が不十分だったのはおいらの責任。
去年の3年生と比べてしまえば
実力もチームをまとめる力も物足りなさを感じてしまう4人だけれど
彼らなりに、悩みながらも奮闘していたようだ。
そして
厳しいチーム状況を誰よりも認識し、憂いていたマネージャーの好美ちゃん
しっかり者の彼女の存在なくしては、南高バスケ部は成り立たなかったろう。
皆、良く頑張りました。
ありがとう。。


試合には、つかちゃんも駆けつけてくれた。
会社を抜けて来ましたと、社服のままで。。

二人並んで、
『あ"〜』
『なにやってんだ〜』
と、敵味方に分かれて応援合戦するのも、妙な気分である。
つかちゃん 『ところでたけるはどうしたの・・?』
おいら    『今日は来ないみたいです。予備校行ってんじゃないすか・・』
つかちゃん 『彼は今日は来るべきだよねぇ・・』
おいら    『ですよねぇ・・』  



(弁当を食べる)