晴れ晴れ泣きっ面

昨日に引き続き
野沢南高校の応援へ。
昨晩の楽しい飲み会によりちょっと二日酔い。

2回戦の相手は北信1位の長野吉田高校。
おそらくはワンサイドゲームになるだろうと予想されたこの試合。
ここまで来たら結果はどうでもよいことで
強豪高相手にあの娘達がどんな姿勢でぶつかっていくのか
そこが見たかった。
その中でも気になっているのは
悩めるポイントガードの理世子ちゃん。
スターティングメンバーではあるものの
東信大会では途中でベンチに下げられるケースが多かった彼女は
自分が何をすべきなのか
何故交代させられてしまうのか
イマイチ自分の中で消化できず
ガードとしての在り方に迷いが生じている様子。
そんな彼女の心情を本人の口から聞いたのは2週間前のこと。
コート上では監督の全権大使として
誰よりも冷静に、クレバーにチームとゲームを読み
コーディネートしなければならない、一番しんどいポジション。
元来が気の優しい彼女は
ミスを恐れて消極的になってしまう弱気な一面も、確かに伺える。
本番まで2週間で出来ることなんて限られている。
今さら凝った技術論や方法論を説いても混乱させるだけであり
もとよりおいらにそれを教えられるだけの引出しなどあろうはずもないので
やはりここは気持ちの面で整理をつけるしかないと
いつものように精神論を中心に、諭す。
ポイントガードアイデンティティーとは・・という総論的な内容から
おいらなら理世子ちゃんに何を求めるか・・
そして
おいらでは教えられないポイントガードとしての動きについて
同じポジションのれい子より各論的な助言を少々。。。
頭を使っていないようでいて、意外に見るところは見ているれい子。
サウスポーの理世子ちゃんの
フロントコートへのエントリーの仕方が気になっていたようだ。
『そうだっけ・・?』と
全く気づいていないおいら。
去年の男子チームのポイントガードは中西ただ一人。
しかも奴は
途中で退部してしまった正ガードの代わりに
本番3ヶ月前に無理矢理コンバートした急造ガード。
何があっても絶対に替えられない、虎の子のポジションだ。
それに比べりゃ
バックアッププレーヤーがベンチに控えている理世子ちゃんは
ある意味では恵まれている。
コートにいる間はぶっ倒れるまで懸命に動いて
後は仲間に託せばいいのだ。


先週の長野大学とNKOとの練習試合では
おそらくキツイ洗礼を受けたであろう野沢南高。
高校以上のレベルに揉まれ、ボコボコに叩かれた経験は
陸上競技で云うところの高地トレーニングであり
筋トレに例えるなら超回復
後の本番に対しては、メンタルとフィジカルの両面で絶対に奏功するはずだと
去年のチームの実績から確信している。
おそらくこれが現役最後の試合になるのだろうとの認識と覚悟は
彼女たちにもあるはずであり、腹は括っているだろう。
昨日の接戦をものにした自信も相当についているだろう。
そんな諸々の伏線を経て北信王者へ挑戦する彼女たちのテンションは
おいらの予想するシナリオに紛うことなく
素晴らしいものがあった。
気持ちの面では全く引けをとることなく、ガチで長野吉田高にぶつかる南高。
相手は、身体能力も運動量もシュート力も、明らかに格上。
とりわけキャプテンの子は
男子顔負けの運動能力とプレーを持つ逸材であり
今の南高生ではちょっと止められない。
個人技と多才なパスワークから次々と高確率のショートを浴びせてくる。
対して
殆ど気持ちでシュートをねじ込む南高。
予想以上に善戦。


1ピリ終了時点で
勝敗の観点で言えば
この試合を取る可能性は無いな・・と判断してしまったけど
どれだけ点が離れても、一心に喰らい付いていく彼女たち。


理世子ちゃんはと云えば・・
頑張ってましたよ・・ほんとに・・・
普段は大抵、その人のプレー自体を見るのだけど
ここに至る経緯を少なからず知る身としては
彼女の放つオーラや目力に注目してしまう。
過剰に意識することなく
もちろん慢心することなく
失敗を恐れることなく
淡々と向かっていく姿勢。
競技である以上
相手との力関係にプレーの成否が依存するのは当然あるけれど
通用しようがしまいが
相手に向かう姿勢は強く感じられた。
一直線にゴールへ走りこみ、味方からのパスを受けてのシュートが2本。
彼女の気持ちを象徴していたプレーだと感じた。
彼女の得意とする、左手ドリブルからのバックロールターンも冴えていた。
『この後、予備校で漢検なんすよ・・』と言いながら会場に来た中西と二人
コートサイドで応援しながら
『あのロールターンは真似できねぇよな・・』


前日の諏訪二葉戦後、お母さんに伺った話によると
理世子ちゃんは小学校一年からバスケを続けているそうで
同期が一人しかいなかった中学時代も含めて
一度も辞めたいとは言わずに頑張ってきたそうな。
高校バスケの集大成として、一旦の区切りとなるこの試合
出来不出来の如何はあくまで彼女の主観が全てだけど
どうだったのかな・・・?
以下、試合の後に貰った彼女からのメールです(無断掲載・・理世子よごめん)
−−−
今日はおつかれさまでした。
負けはしましたが自分にとって悔いのない試合になりました!
鳥海さんにはたくさんアドバイスをしてもらいましたし
練習試合も組んでもらってほんとにお世話になりました。
鳥海さんからアドバイスをもらってから自分の考え方を変えて
今までより全力でプレーできるようになったと思います。
高校バスケはおわってしまいましたが
バスケはまだまだつづけていくつもりです。
なのでこれからもぜひよろしくおねがいします(^o^)
本当にありがとうございました。
−−−

南高3年生には、味のあるプレーヤーが揃っていた。
前出の強気のフォワード弘枝ちゃん。
おいらの助言を素直に実践してくれたセンターの香南ちゃん。
南高の飛躍には、彼女の成長が大きく寄与していたことは間違いなく
今大会、れい子べた褒めのプレーヤーである。
運動能力の高く、スケールの大きいプレーをしていたキャプテンの麻友ちゃん。
手が長いことも武器で、たまに口あんぐりするほどのブロックショットを見舞う。
スーパーサブの紗綾ちゃんは
おとなしそうな顔をしながら、交替後いきなり3ポイントを決める度胸を持つ。
その3年生に引っ張られてプレーできた2年生は
多分やり易かったろうと思う。
(新チームになってからが大変だと思うけど)
昨年に長野大の佐土監督をして
『南高は台風の目・・』と言わしめたことも
今にしてみれば、よくわかる。
男子同様、このメンバーでのバスケをもっと見たかったけど
終わりがあるのが部活。
試合後、最後に声を掛けた時
泣きはしていたけど、表情は晴れ晴れとしていた。
2回戦が自分たちの引退場所だと割り切っていたからか
接戦の末に敗れたチームの悲壮感とは違う
充実感に似た雰囲気でもあった。
おいらも、今日に2試合は無いと思ったので
差し入れはエネルギーゼリーでなく、ミスタードーナツにした。
それでいいのだ。


南高女子の応援団(殆どはお母さん)は、元気でエネルギッシュな方が多く
ベンチ上の応援席でいつも(品良く)大騒ぎされていて
10点分くらいは貢献していたような気がする。
静かに我が子を見守る男子保護者とは対照的だ。
子供が男か女かの違いが保護者の質に関係することはなかろうに
何故にこうも雰囲気が違うのだろうと
常々不思議に思っていた。

(最強の応援団)


そして
南高を鍛えてくれた社会人の皆さんには、本当に感謝します。
20代のフラッパーズ、30代のB.CREW、40代の佐久クラブ
各世代のバスケスタイルは、彼女たちの経験値を上げてくれたことでしょう。

(東信大会に応援来てくれたフラッパーズ・・いずれも彼氏募集中)