手袋の話

体脂肪が少ないせいか、寒さにとても弱いおいら。
手袋無しでこの時期過ごすことは到底できない。
外出の際は、
お気に入りのL.L.Beanの手袋を常に携える。
ところが、
数日前から、そのお気に入りが見当たらない。
車を運転するのに冷たいハンドルを握るのは辛抱堪らんので、
仕方なく、
日頃出番の殆どないスキーのグローブを先発出場させている。
モノにはあまり執着しない性質だからか、
単にズボラだからか、
無くしモノは多い。
体育館にバスケグッズを置いてくることは日常茶飯事だ。
春まで片割れ一つで凌ぐのも、このままスキーグローブで過ごすのも、
ちょっとなぁ・・・。
お気に入りと決別して、新しいの買おうかなぁ・・・と思い始めたこの頃。
仕事を終え、
既に照明の落ちた駐車場を車に向かって歩いていた昨日23時過ぎのこと、
歩く先にふと、月明かりに照らされて白く光るモノが落ちているのを発見。
それは紛れもなく、おいらのお気に入り。
その存在をアピールするかのように、霜を被ってキラキラ光って・・・

『おぉ、おまえ・・・そんなところにいたんか・・・』
数日振りの再会。
愛着のあるモノは、無くならない法則。
バスケする度に外す婚約指輪においては、
紛失して大騒ぎすること、数回。
けれど、
何だかんだで、必ず見つかる。2週間後とか・・・
ちなみに、
うちの母ちゃんは指輪をしない。
おい、愛着ねぇんか・・・?


今回の一件で思い出したことが二つ。
一つは、がばいばあちゃんの話。
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ある日、昭広は川を流れてきた下駄を拾う。
「ばあちゃん!下駄が流れてきたぞ!
 ばってん・・・片方じゃしかたなかな。
 これは、干してマキになるばい!」
「マキにすっとは2、3日待ちんしゃい。」
「なんで?」
「まぁ、2、3日待っときんしゃい。」

3日後、
昭広はもう一つ、下駄を拾い上げる。
「ばあちゃん!ばあちゃん!下駄が流れてきた!
 もう片方の下駄が流れてきた!
 ばあちゃん、わかっとったと?
 もう片方の下駄が流れてくるって。
 だけん3日待てと言ったと?」
「片方無くしたら暫くは諦めきれんやろ?
 2、3日したら諦めて捨てるばい。
 うちの前で両方揃うようになっとっと。」
「へー!」
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天晴れなばあちゃんだ。。。


もう一つは、以前に読んだ本の話。
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ニューヨークでの、冬のとても寒い日の出来事。
著者がホームで電車を待っていた時のこと、
ある紳士が、片方の手袋を線路に落としてしまった。
それは見た目に高級そうな皮の手袋。
同情の目で彼を見る周囲の人々。
その時の彼のとった行動は・・・
もう片方の手袋を、線路に落ちた手袋の傍らにポーンと投げ捨てて、一言。
『誰かが使ってくれればいいのさ。高かったんだよ、これは・・・』
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格好ええなぁ・・・。
こういう人に、私もなりたい。