なりすまし

4人目の子供だというのに、
涸れることなく滾々と湧き出すれい子のお乳。
おかげで天晴は、
粉ミルクを飲んだことがただの一度も無い。
いつものように、酒飲みながらダラダラと夕飯食べていた夜のこと、
隣の寝室から、目を覚ました天晴の、訴えるような声が聞こえてきた。
『おっぱい〜 おっぱい〜』
飯も喰うが相変わらずおっぱい星人の彼。
どれどれと、
彼の横に寝て、
上着をたくし上げて、
乳をくれてみた。
彼は寝ぼけ眼で一生懸命まさぐるも、
いつもはすぐに見つかるはずの、口にフィットするモノが見当たらない。
そこに在るべきモノが無いことの不可思議さに、
彼の寝ぼけ頭は、徐々に冷静に覚醒されていって、
やがておっぱいの主が父ちゃんであることに気づき、
一気に泣き出す。
何度やっても、笑える。
そしていつも、
母ちゃんに窘められる。


(乳くわえながら寝る・・)